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夫が投げた本(伊坂幸太郎「オーデュボンの祈り」)
2009-02-22 Sun 12:14
2009年2月22日(日)

ミステリー好きの夫は、年末にはいつも、『このミス』(「このミス
テリーがすごい!」
)を買ってくる。
夫が言うには、「この手のランキングは、大してアテにならん」
(上位にランクされている作品が、夫にとって評価できる本とは
限らない)そうだが、それでも、これから読みたい本や作家を
探すのに、結構重宝しているらしい。

私自身は殆どミステリーは読まないのだけど、暫く前に、夫が
「そうだ、Sの去年の本が、『このミス』の14位に入ってたぞ。
 結構、いい評価を書いてる人もいてさ…」
と教えてくれたので、『このミス』を手に取ってみた。

“S”というのは、以前にも紹介したことのある、我々の大学時
代の同期生のS君(ペンネーム:愛川晶氏)である。
去年の彼の作品『芝浜謎噺』は、読もうと思いつつ、まだ読ん
でいない(ゴメン)。

夫 「Sには、このまま、“落語ミステリー路線”で頑張ってほ
  しいよな」
私 「そうね。 S君の本は、図書館で“借りる”んじゃなくて、
  ちゃんと“買って”読んであげようよ。応援の意味で」

そんな会話をした後、私は、なおも「このミス」のページを繰っ
て、パラパラと拾い読みをしていた。

私 「ふ~ん、1位は、伊坂幸太郎の作品か…。この、伊坂
  幸太郎って作家の本、あなた、よく読んでるよね?」
夫 「うん、だいたい全作品読んでる」

夫は図書館から常に5、6冊の本を借りていて、リビングにも
寝室にも、階段にも…と、家のあちこちに置いているので、私
も、表紙ぐらいは、いつも目にしている。

私 「…私も、伊坂幸太郎を1冊くらい読んでみようかな?
  この、1位の 『ゴールデンスランバー』という本でも…」

本好きのおかんさんの『本棚』(読んだ本を載せてあるページ)
にも、伊坂幸太郎氏の本が何冊もあったっけ…なんてことも思
い出しながら、そう言うと、

夫 「それはダメだ。 いきなりそれを読むのはダメ!」


夫が常々言うことには、「面白い本」というのは、何冊もの
「つまらない本」を我慢して読んでいるうちに、ご褒美のよう
に、たまに巡り合えるものだそうだ。
「それなのに、『 K木さん、最近読んだ本の中で一番面白
 かったのは何ですか?』と、気軽に聞いてくるヤツがいる」
と、夫は憤慨する。
そういう、『楽して美味しいトコ取り』というのは、許し難いら
しい(笑)。

私 「じゃ、私、伊坂幸太郎の、何から読んだらいいの?」
夫 「うん、そうだな…処女作の『オーデュボンの祈り』だな。
  伊坂幸太郎は、ここから読まないと始まらない。  でも、
  これは、ひどい作品なんだ」
私 「え、ひどいの?!」

夫 「うん。 オレも今まで随分本を読んできたけど、読んで、
  何じゃこりゃ!と腹が立って、床に投げつけた本が、今ま
  でに2冊だけある。
それが、伊坂幸太郎の『オーデュボ
  ンの祈り』と、京極夏彦の『姑獲鳥(うぶめ)の夏』だ。
  どっちも処女作だけどね」

[ 続きはここから… ]

私 「ひどいって…どう、ひどいの? 文章が下手なの?」
夫 「いや、何というか…こんなのアリか?っていうか…。
  『オーデュボンの夏』には、しゃべる案山子が出てくる
  んだぜ」
私 「へえ…」
夫 「で、殺人事件てのが、この案山子が殺されるんだ。
  しかも案山子だから、殺されるって言っても、引っこ抜
  かれて壊されるだけの話なんだ。 案山子がしゃべれ
  るなんて、一体どんな混み入った“罠”かと、楽しみに
  読んだのに、その部分はミステリーじゃなくて、最初か
  ら、その案山子は喋れる、という設定なんだ。 …そん
  な設定、ありか???」
私 「あははは…。 そこは、物語の“お約束”なんだから、
  突っ込むところと違うんじゃないの?
  そういう“超自然的な設定”を受け入れないと、漫画だっ
  て…『デスノート』とか『20世紀少年』とか…楽しめない
  じゃん。 しゃべる案山子、面白そうだけどな…」
夫 「う~む…。あんたは、もしかしたら好きかもな」
私 「あんたが嫌いなものを、私が好きそう…って言われる
  のも微妙ね(笑)」

夫 「伊坂幸太郎が面白いのはね、作品中に、他の作品の
  登場人物がさりげなく出てきて横切ったりするんだ」
私 「へえ、じゃ、作品を沢山読めば読むほど、楽しめるわ
  けね。…ますます漫画みたいね」
夫 「そうだな。伊坂幸太郎の世界は、『ONE-PIECE』の世
  界と同じなんだな…。なるほど、そうか、そうか…」
(うなずきつつ、しきりに一人納得する夫。)

私 「『オーデュボンの祈り』は、もう文庫本になってるで
  しょうから、買って、鹿児島に行く時に、持って行って
  読むわ」
(鹿児島に行く前の話である。)
夫 「いや、オレが図書館で借りてきてやるよ」

というわけで、夫がわざわざ予約を入れて借りてきてくれ
た重い単行本を、有難くバッグに入れ、私は鹿児島に向か
ったのだった。


オーデュボンの祈り (新潮ミステリー倶楽部)オーデュボンの祈り (新潮ミステリー倶楽部)
(2000/12)
伊坂 幸太郎

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しかし、鹿児島では、あまり落ち着いて本を読むヒマはなく、
少ししか読み進められなかった。

結局、返却期限を気にしながら、鹿児島から戻ってから一気
に読んだのだが、ちょうどその頃、楽子さんが『オーデュボン
の祈り』の感想を、ブログに書いておられるのを見つけた。
「2009年1月に読んだ本」(楽子の小さいことが楽しい毎日)

私はその時、まだ読んでいる途中だったから、自分が読み終
えてから、楽子さんの記事も拝読したのだが、楽子さんは

>あまりにもシュール。
 ちょっとその突然の展開に私的にはついていけない感
 があったのだけれど、でもなんだかよくわからないけど
 やたらとこの小説の世界に引き込まれてしまったなぁ。


なんて、書いておられた。

私はと言えば、物語の“シュール”な部分には、全く抵抗な
く入っていけた。
…と言うか、むしろ、こういう世界は大好きかも。

作品中で、主人公が時々祖母のことを回想するのだけれど、
その祖母にこんなことを言わせているところでは、私は思わ
ずニヤけてしまった。

 「詐欺師のやり方だよ。はじめのうちは正しいことを言って
 安心させて、それから、相手を騙してやろうって話を大袈裟
 にして、つづきをくっつけちまうんだ。 そういうのに騙される
 んじゃないぞ。眉に唾だ。眉に唾」
 

「オーデュボンの祈り」というこの作品では、読者はまさに、
作者の巧みなやり方によって、壮大な「嘘」の世界に少しず
つ引き込まれ、付き合わされてしまうのであるから。

登場人物の中に一人、残酷で気味の悪い男がいて、そい
つに関する記述だけは、怖くてイヤだったけど、それ以外の
部分は、ファンタジックでありながら、話がよくできていて、
偶然に見えることが、実は多くの人が少しずつ加担してでき
あがる必然であったりするのも、大変面白かった。
案山子の優午(ゆうご=案山子の名前)のことも、ちょっと
切なくて好きになってしまう。

「優午みたいな案山子が、本当にいたらいいのにねぇ…」
読後はしばらく、そんな思いにとらわれていた。

夫から感想を聞かれた。

私 「普通に面白かったよ。 ああいうの、好き」
夫 「そうか? …あの終わり方で、いいのか?」
私 「別に違和感なかった。 …ってか、終わり方に、何か問
  題あった?」


本というのは、人によって評価が違うのが面白い。
興味を持たれた方は、ご自身の感想が「夫派」か「私派」な
のかを、確かめてみるのも一興かと思う(笑)。

多分、普通のミステリーのつもりで読むと、拍子抜けしてし
まうところはあるかも。
私の場合は、さんざん「ひどい本」だと聞かされて予備知識
もあったのが、幸いしたかもしれない。


で、夫から私への“次なる課題図書”(笑)は、当然、コレに
なりそうなのだ。

京極夏彦 『姑獲鳥の夏』。
(もう1冊の、夫が投げた本…笑)


夫 「『オーデュボンの祈り』より、もっとひどいんだぞ!」


…結構、結構。
大いに楽しみである(笑)。
 
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コメント
--
若い頃は本棚を人に見られると
何だか、自分をさらけ出しているようで恥ずかしいかったのです
が、最近はすっかり開き直っているので
自分の読んだ本を忘れないようにするためにも
読書記録として、本棚に記録しています
(図書館で、何度も同じ本を借り、2~3ページ読んで
「あっ、コレ以前に読んだ」ってのを避けるためにも
2~3ページ読まなきゃ思い出せないのも悲しいですが)

伊坂さんの「オーデュポンの祈り」の世界は好きです
女性は結構どっぷりとはまり込める世界かもしれません

伊坂作品は登場人物がリンクしていると子供に話したら
そりゃぁ全部読ませようという陰謀だと言っていました
(ちなみに彼は 1冊も読んでいません)

「アヒルと鴨の・・」・、「重力ピエロ」、「砂漠」どれも良いですよ
伊坂氏は、かわいらしい好青年というのも付け加えときます
でも、以前ブログにそう書いたら、趣味を疑われてしまいました(笑)

2009-02-24 Tue 18:43 | URL | おかん #mQop/nM.[ 内容変更]
--
おかんさん
本棚の方に勝手にリンクさせて頂いてしまって失礼しま
した…(^^;)
でも、あのブログパーツはいいなあ、私も設置しようか
なあ…なんて思っているのですよ。
本の感想をいちいち記事に書くのもなかなかできないし、
私はすぐ、本のタイトルや著者名を忘れてしまうので、
やはり自分の備忘録としてね。
それと、「読んだ本の本棚」とは別に、「これから読みた
い本の本棚」(あちこちのブログで知った本などの記録)
を作っておくのも便利かも…なんて思ったりもしてます。

おかんさんは、きっと『オ-デュボンの祈り』もお読み
になっているだろうなあ(本棚設置以前に)、おかんさ
んの感想はどうだったのだろう?(感想もうちの夫に近
いのか…?)というのは、興味ありました(笑)。
やっぱり「女性が好きな世界」なんですかね。
「かわいらしい好青年」かどうかはともかく…(笑)。
伊坂作品、他のもぼちぼち読んでいこうと思います。

そう言えば、以前に読んだ本をうっかりまた借りてくる
…というのは、夫も時々あるようですよ。
2、3ページ読んで思い出すなら、かなりの記憶力。
夫などは、半分くらいまで読んでから、「あれ?これ、
以前も読んだな」と気づき、それでも結末を思い出せな
いので、最後まで楽しんで読んだりすることもあるそう
です(笑)。
夫は冊数は随分読むので、簡単な記録でいいからブログ
に書けばいいのに…と勧めたこともあります。
手帳に「○○読了」程度は書くみたいですが、WEB上
のデータにしておくと検索できるのが便利ですよね。

ここ数日、おかんさんのブログ更新がなくて気になって
いましたが、息子くんの引越しなどがあったのですね。
お疲れさまでした。冷蔵庫内の写真、笑いました(^_^)
2009-02-24 Tue 22:45 | URL | ミセス・かんちがい #bhhZubZs[ 内容変更]
-オーデュボン♪-
旦那様が伊坂幸太郎さんお好きなんですね~。
一緒の本を読んで感想を言い合えるっていいなぁ。
うちは本に関しては私と夫の好みが全く合わないので、なかなか同じ本を読んで話し合うってことが出来ません…。(>_<)
「オーデュボンの祈り」、投げつけるほどではありませんでしたが(笑)なかなか難しかったです…。
この世界は嫌いではないのだけれど、特に電車の中で細切れに読んでいるからか、場面が変わったりすると「一体これはどういうつながりだったのだったかしら」と前に遡ったりして。(爆)
この後二作目となる「ラッシュライフ」を読んだのですけど、これはものすごーく好みでした!
良かったらかんちがいさんも読んでみてくださーい!
2009-02-27 Fri 22:53 | URL | 楽子 #w7E8CPEA[ 内容変更]
-途中で・・・-
この作家の本、実は2冊持ってるんです。『重力ピエロ』『フィッシュストーリー』。どちらも読み始めて数ページで挫折して読んでません。書店で『オーデュボン・・』も買おうか迷ったんですが、何せ手元の2冊を読み終わってないのでまたそうなるかもしれないと思うと踏ん切りがつかず。。。私にはちょっと肌があわなかったのかもしれませんが。また気が向いたら読んでみようかな。
2009-03-01 Sun 14:14 | URL | まめたろう #qbIq4rIg[ 内容変更]
--
楽子さん
楽子さんの記事を引用させて頂いたので、とりあえず
トラックバックさせて頂いたものの、そのままコメントも
差し上げず、失礼しましたm(_ _)m
(コメントやレスに関しては、いつも筆不精?になって
 しまう私…社交性欠如?…で、困ったものです。笑)
夫とは、読書の趣味はあまり合わないのですが、たま
には互いのオススメを読む場合もあります。
でも、相手のオススメはたいてい、「う~ん、それほどで
も…」と、なるんですよ(笑)。
そして今回のように「ひどい本」と言われたものを面白く
感じたりもするので、やはり趣味はだいぶ違うんでしょう。
テレビ番組の好みも違うし、映画なども互いにかなり譲
歩しないと、一緒に観たいものは少ないです(笑)。

「オーデュボン…」は細切れで読むと、確かにわかりに
くいかもしれませんね。
「ラッシュライフ」は是非、読んでみます!
トラックバックもありがとうございました。

まめたろうさん
まめたろうさんも読書家ですものね。
でも、数ページで挫折なさることもあるなんて、意外…。
私は、書店での立ち読み時点で挫折して買わないことは
ありますが、いったん買ってしまえば、「モトを取る」意味
でも(笑)、だいたい最後まで読みますね。
本の好みや評価は、人によってびっくりするほど違うので、
人に勧めるのは難しいのですが(ブログには簡単に“オス
スメ”なんて書いたりもするけど)、でも人の勧めで読む
と、自分一人では決して選ばなかったろうと思われる本が
読めて新鮮な感動があったりもするし、本の中には、読ん
でいくとだんだん面白くなるものも結構あるので(逆もあり
ますけど…(^^;)、たまには「我慢して」読むのも、悪くな
いんじゃないでしょうか?(笑)
2009-03-03 Tue 11:29 | URL | ミセス・かんちがい #bhhZubZs[ 内容変更]
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