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最近読んだ本(水村美苗「日本語が亡びるとき」ほか)
2009-01-10 Sat 18:25
2009年1月10日(土)

ホントは年末に書くはずだったエントリー。
12月は、仕事関係でない本を結構(私にしては)読めて、しか
も、“当たり”の本が多かったと感じたので、備忘録も兼ねて。
内容への感想よりも、なぜ読んだのかを中心に。

【2008年12月に読んだ本】
・「できそこないの男たち」(福岡伸一著/光文社新書)
・「生物と無生物の間」(福岡伸一著/講談社現代新書)

 私が「夢の話」で「男って可哀相…」というようなことを書いたら、
 若だんなさんが、そういう時にはこんな本はいかが?と、コメ
 ント欄で勧めて下さったのが、「できそこないの男たち」。
 何たってタイトルがいいし(笑)、前々から気になっていた同
 じ著者の「生物と無生物の間」と読み比べようと思い、2冊同
 時に購入。2冊とも、知的好奇心を充たしてくれるという意味
 でも、科学者たちの熾烈な先端争いをのぞけるという点でも、
 大変面白かった。福岡伸一さんという人は、科学者なのに文学
 的な文章が書ける、貴重な人材と思う。わかりやすい比喩も有
 難い。ただ、個人的な好みで言わせてもらうと、文学臭をもう
 ちょっと抑えてくれたほうが、好きかな?(笑)
 「できそこないの男たち」は、男のなりたちを、そこまで自虐史
 観的(笑)に語らなくても…と感ずるところもあり、私的には
 どちらか1冊読むなら、「生物と無生物の間」の方がお勧め。

・「そうか、もう君はいないのか」(城山三郎著/新潮社刊)
 活字中毒の夫は、毎週図書館から数冊の本を借りてくるのだが、
 その中にあった1冊。 タイトルから想像できる通り、亡くなった
 奥様のことを綴ったもの(この原稿は城山氏の死後に発見され
 た)。最近結構話題になっていたのも知っていたし、すぐに読め
 そうだったので、読んでみた。(1/12からTVドラマも始まるらしい。)
 まあ、だいたい想像の範囲内の「いい話」である。
 死んだあとにダンナにこんな風に書いてもらえる妻というのは
 幸せだな、と思う。ただ、男性の視点では「明るく可愛い奥さ
 ん」ということだけでいいのかもしれないが、奥さんがどんな
 「人間」だったのかが、ちっとも書かれていないのが気になった
 (あえて省略したのかもしれないけど)。もし奥さんが書き残
 したものがあるなら、あわせて読んでみたい気がするけど、そ
 うしたものは多分ないんだろう。
 考えてみれば、普通の人が何を考えどう生きたかなんて、身内
 に文筆家でもいない限り、書き残されたりはしない。
 私が死んだって、私がどんな人間だったかを、夫が書くことは
 ないだろう。だから私は自分で書くしかなくて(笑)、それでこう
 やってブログを書いているのかもしれない。

・「人脈の赤本」(ジェフリー・ギトマー著/日経BP社刊)
 ご近所仲間のN井さんから借りた本。日本橋三越に買い物に行
 って、そのまま彼女と夕飯を食べたのだけど、その時、彼女が
 今読んでる本として、見せてくれたのがコレ。あ~、smoothさん
 のブログで紹介されてたな
…とは思ったが、私にとっては特に
 食指の動く本ではなかったので、身近な主婦仲間がこんな本を
 読んでいることに、ちょっと衝撃を受けた。最近彼女が愛読して
 るのは、大前研一とか、雑誌なら「週刊ダイヤモンド」「日経ビジ
 ネス」等らしい。 思わず「N井さん、“男”だな~!」と誉めて?
 しまった(私はその手の雑誌は、立ち読みすらしない…)。
 が、オバサンが電車の中でそういう雑誌を読むのは、なかなか
 カッコイイのではないかと思う。N井さんは貫祿もあるから(笑)、
 きっと“女性事業家”か、有能な管理職に見えるだろうな。
 帰りの電車の中、私がこの本を読ませてもらっている間、N井さ
 んは、ケータイ(ワンセグ)で、ニュースチェックをしていた。
 やはりご近所仲間のT橋さんは、アナリストの今井澂(いまい
 きよし)さんのファンで、セミナーに通ったりしている。
 私の周りは、フツーの主婦にしておくには惜しい“変なオバサン”
 ばかりだ(笑)。この主婦仲間で、起業とかできたら面白いのに。

・「敗れざる者たち」(沢木耕太郎/文春文庫)
 夫と話をしていた時、どういう文脈だったか、沢木耕太郎の話に
 なった。夫が言うには、「沢木耕太郎だったら、『深夜特急』より
 も何よりも、まず『敗れざる者たち』、これを読まなくちゃダメ」。
 夫は若い頃にこれを読んで、深い感銘を受けたらしい。あまりに
 熱く語るので、私も読んでみた。ボクサーとか、野球選手とか、
 マラソンランナーたちの、“栄光”の隣り合わせにあった“影”の
 物語(ノンフィクション)。 でも読んでいて「切なくて辛い」と思
 ってしまうのは、私が「女」だからなのか、それとも年を重ねす
 ぎて、実人生で「才能はあるのに、栄光をつかめなかった人たち」
 をすでに沢山見てきてしまったせいだろうか。
 でも、夫が昔感銘を受けたというのは、よくわかる気がした。
 主役よりも、脇役に甘んじなければならなかった人生の哀愁に、
 夫は昔から惹かれるようなのだ。愛読者は多分、男性が多いだ
 ろう。アマゾンのカスタマーレビューを見たら、レビューを寄せて
 いる9人全員が、5つ星の高評価をしていた。

・「日本語が亡びるとき」(水村美苗著/筑摩書房刊)
 はてな界隈では随分話題になって、あちこちのブログでの書評
 も読んで、私もそのうちは読まなければと思っていた1冊だが、
 やはりすぐにでも買ってきて読もうと思い立ったのは、ululun
 さんの「『日本語の危機とウエブ進化』読了」のエントリーを
 読んだのがきっかけになった。(このエントリは、「日本語が
 亡びるとき」そのものについてではなく、それを読んだ上で、
 新潮2009年1月号に掲載されている水村美苗さんと梅田望夫
 氏の特別対談『日本語の危機とウエブ進化』を読んでの考察
 だったのだけれど)。
 あまり読みやすい本ではなかった(はっきり言って、これだけ
 評判になっているから読む気になったので、もしたまたま書店
 で見つけてパラパラと見たとしても、多分買わなかったのでは
 ないかと思う)が、内容的には非常に面白くて、読み進むにつ
 れてぐんぐん引き込まれ、私の中では12月のベストというより、
 昨年1年間に読んだ本の中で、ベストだった。
 今まであまり考えたことがなかった、日本語とは何か、国語と
 は何かについて新しい見識を提示してくれたと思う。私は「国
 語」に関わる仕事をしているので、特に興味深かったという側
 面も、もちろんある(必ずしも著者の考え方に100%賛成という
 わけでもないのだけれど)。
 日本語や日本語教育、日本文化を考える人なら、読んでおか
 なければならない1冊。 取引先の編集者にも、つい勧めてし
 まった(仕事相手に本を勧めたのは初めてだ)。
 思い入れたっぷりで、ちょっとくどい文体は、あまり夫の好み
 ではなさそうだと思ったが、「中身はすごくいいから、我慢して
 最後まで読みなさい」と言って、夫にも読ませた(笑)。
 
[ 続きはここから… ]

【おまけその1: 1月に入ってから読んだ本(まだ、1冊…)】
・「世にも美しい数学入門」(藤原正彦・小川洋子共著/ちくまプリマー新書)
 珍しく、自分の意志で読んだ本(笑)。小川洋子さんの「博士の
 愛した数式」も、素敵な話だったけれど、個人的には、前々から
 その裏話ともいうべき対談集のこちらに、より興味があったのだ
 が、今回ようやく読んだ。(読みたいと思ってから実際に読むま
 でに、数年かかることもザラの私…笑)
 軽く読めるけど、大変面白い。学校で算数や数学を教える時に、
 この本に書かれているような数の美しさ・不思議さから教えて
 くれれば、もっと楽しく学べたのにねぇ…。
 例えば、数と図形とは密接な関係があって、1、2、3…と並べ
 ていくと三角形になるとか、1、3、5…と奇数ばかりをちょっ
 と工夫して並べると四角形になるとか、そんなのを、小学生に
 おはじきを使って考えさせるとかしたら、面白いのにと思う。


【おまけその2: 現在読みかけの本】
・「子どもの最貧国・日本」(山野良一著/光文社新書)
 本屋で、ダ・カーポのムック「今年最高の本 2008」をパラパラ
 立ち読みしていた。いろんな人が2008年の良かった本を挙げてい
 るのだが、やはり編集方針なのか、「ベストセラーなんか絶対挙
 げるものか」という選者たちの意地なのか、私などはタイトルす
 ら知らないような本ばかり出ていて、ちょっとメゲた。
 最後の方に、書評ブロガー3人(小飼弾さん聖幸さんsmooth
 さん
)のお勧め本が出ていて、そこだけは知ってる本が結構出て
 たので(まあ、ブログを読んでるので当たり前だけど)、ホッと
 した。
 小飼弾さんのお勧め10冊の中にあった「子どもの最貧国・日本」
 は、氏のブログで書評を読んだ記憶がなかったので、あえて買っ
 てみた。小飼弾さんは月に500冊も本を読む方だから、氏が勧め
 るということは、それだけで相当に選び抜かれた本である点が信
 用できる。読んでいて暗い気持ちになるが、行政サイドの人間に
 ぜひ読んでほしい本と思う。そういう意味で、弾氏が取り上げて
 いたことにいたく納得。


【おまけその3: 三男が冬休みに読んだ本】
うちの息子たちはみんなろくに本を読まないのだが、先日、三男の
日記
を見ていたら(教師になってから、パスワードを入力しな
いと閲覧できないようになってしまっていて失礼!)、冬休み中に
読んだというのが列挙されていて、

 「人間失格(太宰治)」
 「罪と罰(ドフトエフスキー)」
 「舞姫(森鴎外)」
 「銀河鉄道の夜(宮沢賢治)」
 の4冊!!


…とあるので、ほうほう…と思ったら









 …を「漫画版」で読破!!

と、あった…。
(今は、そんなにいろいろ「漫画版」で読めるんか~?)
 
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コメント
-読んでますねえ。-
さすが、カンチガイさん。
多くの本を読んでいらっしゃいますね。

私は、半分くらいかな。

福岡伸一さんは、「生物と無生物の間」のあとに「できそこないの男たち」を読んだ方がいいですね。
おっしゃる通り、文章が上手な方ですが、それが後者の方が出過ぎている気がします。
きっと、編集者の問題で、講談社の方が科学本に強いからではないかと踏んでます。

私も読みかけの本がたまっていて、しかも新しい仕事のために読まないといけない本があって、偉いことになってます。
2009-01-10 Sat 23:11 | URL | 若だんなat新宿 #-[ 内容変更]
-なるほど…-
若だんなさん
「生物と無生物の間」と「できそこないの男たち」の
雰囲気の違いは、編集者の違いかもしれませんね。
そこに着眼するのが若だんなさんらしいです。

私は学生のとき、卒論担当教官に「あなたの文章は“歌って”
ますね」と、注意を受けました。
(書いてる本人はいい気持ちなんですよね。
 …今でも直っていないかもだけど(^^;)
福岡伸一さんは、やはり「歌っちゃう」方だと思うのですよ。
それはそれで福岡さんの持ち味でもあるんですけど。
ただ、サイエンス系の本の場合は、違和感なく「歌う」のは、
加減が難しいようにも思います。
エッセイか何かで、思い切り歌わせてさしあげたいですね~^^
2009-01-11 Sun 21:13 | URL | ミセス・かんちがい #bhhZubZs[ 内容変更]
--
「生物と無生物の間」は、科学者なのに文学的・・・だけどちょっとくどくないかい?(笑)って感想は、かんちがいさんと同じですね。
ご主人が若い頃に読まれたという「敗れざる者たち」は、私も若い頃に読みました。(やっぱ、傾向ちかいのかしら?)
「世にも美しい数学」も、数学は高校でチンプンカンプンになちゃった私にも楽しく読めました。硬くて四角い数学が、ふんわりまぁるく感じられました。
この3冊以外は未読なので、図書館で見つけたらぜひ読んでみたいと思います。特に惹かれたのは「できそこないの男たち」
生物は中学で大嫌いになったのですがね
2009-01-12 Mon 00:13 | URL | おかん #mQop/nM.[ 内容変更]
--
おかんさん
「生物と無生物の間」は、おかんさんの「本棚」にあったの
に気づいていました。
しかし、「敗れざる者たち」を若い頃に読まれていたとは!
(あまり若い女性が好みそうな本ではないですよね?…笑)
やっぱり、うちの夫と読書傾向が似てる…?
そして「世にも美しい数学入門」みたいのも読まれていて…。

う~む、おかんさんも、フツーの主婦にしておくには惜しい
“変なオバサン”かも…(爆)。

「できそこないの男たち」は、「生物と無生物の間」以上に
文学っぽい?本ですけど、亭主に対して秘かに溜飲を下げる
には、良い本かもです(笑)。
2009-01-12 Mon 23:08 | URL | ミセス・かんちがい #bhhZubZs[ 内容変更]
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2009-01-20 Tue 22:29 若だんなの新宿通信
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