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この夏の、マイ・ベストワン(『海からの贈物』)
2006-09-04 Mon 19:40
 2006年9月4日(月)

 今年の夏は、「新潮文庫の100冊」で、久しぶりにYonda?グッズ
 を貰おうかな…という気まぐれを起こした。
 と言っても、「2冊読めばもれなくもらえる」わけなので、ホントに
 2冊だけ選んだ…という「志の低さ」である(笑)。

 毎夏キャンペーンが展開される「新潮文庫の100冊」は、若い人
 たちの為には、なかなかよく考えられた、幅広いラインナップだと
 思うが、私くらいの年になると、既に読んでしまった、あるいは、
 その作家の別の作品を読んだことがある、また、読んだことは
 なくても、その作家・作品についてある程度は知っている…と
 いうものが増え、目新しいものは大分少なくなる。

 で、どうせなら、今まで自分が全然知らなかった作品を読もう
 と思い、選んだうちの1冊がこれ… “GIFT from the SEA”。

  海からの贈物(アン・モロウ・リンドバーグ著)  

海からの贈物 海からの贈物
吉田 健一、アン・モロウ・リンドバーグ 他 (1967/07)
新潮社
この商品の詳細を見る


 内容紹介に、こう書かれていたのが興味をひいたのだ。

  女はいつも自分をこぼしている。
  そして、子供、男、また社会を養うために与え続けるのが
  女の役目であるならば、女はどうすれば満たされるの
  だろうか。


 女は確かに「与える性」だ。
 男が動物的なら、女は植物的で、自ら生み出す力を持っている。
 そして、自分の内に、こんこんと湧き続ける泉を持たなければ、
 女は枯渇してしまう。

 女が、豊かに与え続けながらも、自身も豊かに潤い続けるため
 の手がかりが、この本では語られているような気がした。
 そして期待以上だった。
 
[ 続きはここから… ]

 女性論とか人生論にありがちな、気負いや、うさん臭さがない。
 ナチュラルでシンプル、凛としているのに温かい。
 こんなにも気持ちよく自分の中に入ってくる書物を読んだのは、
 いつ以来だろうか…。
 少なくとも、私にとっては、最上級の名著と言っていい。

 著者は、大西洋単独横断飛行を果たしたリンドバーグ大佐の
 夫人で、自身も飛行家、そして知的な活動もしていた女性だ。

 彼女は、人生のさまざまな局面や状態を、ほら貝つめた貝
 日の出貝牡蠣たこぶね(学名アオイガイ)というそれぞれの
 貝に例え、その貝から学ぶべきことを順に語っていく。
 その例えが美しい。 全体の構成も見事だ。
 そしてこの本のすごいところは、人のあるべき姿とか幸福を
 観念だけで語るのではなく、具体的にどうしたらよいかまで、
 普遍的に語っているところだ。

 ごく若い人には、ピンと来ない内容かもしれないが、私の年齢
 で読むと、実にしみじみと読める。
 書かれたのは1955年で私が生まれるよりも前だが、これを書い
 た時の筆者は、49才。…今の私とほぼ同じ年だ。
 道理で、こんなにも共感できるはずだと思う。
 このタイミングで、この本に出会えた不思議に感謝する。

 当時のアメリカ上層階級の女性は、世界の最先端の暮らしを
 していたと思われるが、彼女が悩まされていた「時間に追われ
 精神を貧しくさせる生活」は、現代では、男女を問わず、より
 多くの人が直面している共通の問題になっているだろう。
 だから、私と同世代の主婦はもちろん、生活に疲れを感じて
 いる人、自分自身ともっと調和して生きたいと感じている人、
 そしてこれから 「人生の午後」(いい言葉だなぁ)を楽しみたい
 と考えている全ての人に、この本は役立つのではないだろうか。

 読み終わって、リンドバーグ夫人のことを少し調べてみた。
 そうして、びっくりした。
 私は、彼女のしなやかな感性と聡明さに感嘆しながらも、何の
 かのと言っても、彼女が非常に恵まれた立場だったから、こん
 な文章が書けたのだろうと思っていた部分があったのだ
 けれど、彼女の人生は、実に苦難に満ちていた。
 世紀の英雄の妻として、常に世間の好奇の目にさらされ続け、
 なんと、長男は誘拐・殺害されている。心ないことに、「定期便
 の飛行機が、乗客へのサービスにわざわざ悲劇の家の上空を
 通って行った」そうだ。(柳絮舎の書斎→「読書」→「飛行家
 の妻としてではなく」参照。)

 そんな、身も心もボロボロ、くたくたになるような経験を経て、
 この、人の心を洗うような名著は書かれたのだ。
 いや、だからこそ、書けたというべきなのだろうか…。
 そうと知ってしまうと、一層胸に迫るものがある。

 なお、新潮文庫の奥付を見ると、初版は昭和42年(1967年)。
 吉田茂元首相の子息、故吉田健一氏の訳で、格調は高いが、
 少し古風な直訳調で、読みづらい感じもある。
 立風書房から、落合恵子さん訳の「海からの贈りもの」も
 出ているようなので、そちらでも読んでみたいと思っている。
 
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コメント
--
この夏は人の出いれが多くて、ろくに読書する
時間が
なく、読んだ本、「竜馬がゆく」の残り3巻、ダヴィンチ・コードの作者の
「天使と悪魔」3巻のみでした。
よって、マイ・ベストワンはこの2冊のひとつ(笑)

「天使と悪魔」はバチカンの知らなかったことがたくさん書かれていて、
面白かったけれどもベストワンとまでは行きませんでした。
リンドバーグと言えば、すぐに浮かんでくるのが、
初の大西洋横断飛行におけるリンドバーグの孤独と
睡魔の闘いを描いた映画「翼よ、あれがパリの灯だ」と、
かんちがいさんが書いている誘拐事件です。
「海からの贈り物」も何度も目にしてきましたが、
未だ読んでいません。
かんちがいさんの紹介で、今度手にとってみようかと思います。

2006-09-05 Tue 17:10 | URL | spacesis #4OrEtIGA[ 内容変更]
-読書はこれからがシーズンですね^^-
spacesisさん
「竜馬がゆく」と「天使と悪魔」だったら、2冊とは言えボリューム
がありますね~。
お忙しい中、それだけ読んでおられるのは、さすがです!
「天使と悪魔」は、私の友人は、「ダヴィンチコードより断然
面白い!」と言ってましたよ^^
私は今年の夏は割と本が読めましたが(私にしてはのレベル…(^^;)
薄い本が多かったので、総ページ数はspacesisさんと大差ないと
思います。(他の本については次回日記に書きますのでお楽しみに^^)
 
リンドバーグ夫妻の子の誘拐事件はすごく有名みたいですね。
私はちっとも知らなかった…(^^;)ゞ
聞いたことがあるかもしれないのですが、多分、自分のアンテナ
が感応しなくて、忘れてしまったと思われます。
今だって、アンテナが鋭敏な方ではないですが、若い頃という
のは、感受性が豊かなようでも案外狭量で、自分の興味ある
方向からの情報しか、受け付けていなかったかも…と、今に
なると思うことです。
今は、全方位とまではいかなくても、昔よりはゆったりと周りを
見渡せるようになった気がします。
2006-09-05 Tue 21:26 | URL | ミセス・かんちがい #bhhZubZs[ 内容変更]
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